100日間、あふれるほどの「好き」を教えてくれたきみへ
リビングに移動すると、テーブルには母さんが作った料理が並んでいた。
「海月ちゃんはここに座って」
母さんが海月を椅子に座らせて、俺もその隣に腰を下ろす。家の中に海月がいるってだけで変な感じがするのに、こうしてダイニングテーブルに座ってる姿を見ると、いつものリビングが違う場所のように思えてくる。
「今日お父さんは8時過ぎだし、みいくんは友達のところでご飯食べてくるって」
コップにむぎ茶を注ぎながら母さんが言う。
「……みいくん?」
「弟。呼び方は気にしないで」
軽く流したところで、オーブンからできたてのグラタンが出てきた。
テーブルにはすでに盛ってあったシチューとチーズ春巻き。母さんの料理はどれも旨いけど、組み合わせがおかしいところがあって、今日は尚更にひどい。
「つか、乳製品ばっかりじゃん」
「カルシウムは骨を強くするのよ。それにほら、ちゃんとサラダもあるし」
そこにはボウルいっぱいの緑色の塊。
「ヤギか」
「もう、あんたはいつも文句しか言わないんだから」
やっぱり海月は俺たちのやり取りに呆気を取られていたけれど、礼儀正しく「いただきます」と手を合わせたあと、晩ごはんを少しずつ食べてくれた。