100日間、あふれるほどの「好き」を教えてくれたきみへ



「ふーん。まあ、俺は男だから佐原が誰と仲良くしようとなんにも思わないけど、気を付けろよ。お前のことを狙ってる女子って、けっこうヒステリックなヤツが多いから」


たしかテレビで彼氏が浮気した場合、女は裏切っていた男を恨むんじゃなくて、浮気相手を恨むそうだ。

別に俺は誰とも付き合ってないし、なにかを言われる筋合いもないけど、矛先が海月に向くのは非常にまずい。


「ほら、噂をすれば」

そう言って沢木が窓の外に目を向ける。そこにいたのは、中庭を歩く海月の姿。……珍しい。普段はあんな人目につく場所には来ないのに。

……あ。

俺は〝あるもの〟が目に入り、急いで中庭に向かう。海月は草むらに手を伸ばしてなにかを取ろうとしていた。


「俺が取るから」

横から身を乗り出して掴んだのは、片方の上履きだった。


慌ててここに来たのは、海月が右足は上履き、左足は靴下と奇妙な格好で歩いていたことと、草むらに白い上履きが投げ捨てられているのが見えたから。

おそらく海月も教室の窓から自分の上履きを発見したに違いない。

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