100日間、あふれるほどの「好き」を教えてくれたきみへ
「ケガしてない?つか、靴下汚れてんじゃん」
「平気。気にしないから」
海月は靴下の裏の土埃を払い、拾った上履きを無言で履いた。
「誰にやられた?」
「知らない、朝来たら片方だけなかった」
さっそくかよ、と俺は頭を抱える。
「ごめん。これ俺が原因かも」
断定はできないけど、タイミング的に可能性は高い。
「そうなんだ。大丈夫。見つかったから」
「え、おいっ……」
海月はいつもにも増して機械的な返事だった。
上履きを隠されたことを怒ってるのかもしれないし、俺との噂が耳に入って距離を置こうとしてるのかもしれない。
……はあ、なんなんだよ。
一緒に飯食って、途中までだけど送って、これから徐々にって思ってた矢先だったのに。
「佐原くん」
と、その時。背後から誰かに声をかけられた。振り向くと、そこには岸美波が立っていた。
「ここ、各教室から丸見えだから目立ったことすると、また変な噂が立っちゃうよ?」
海月はすでに校舎に入ったので姿はない。ということは、海月と一緒にいた時からどこかで見ていたってことになる。