Forbidden Desire~秋風に舞う葉のように~


ガヤガヤとした昼休み中の教室内、自分の鼓動だけがやたら大きかった。


「先週だっけ?螢、七瀬抱えて保健室に行っただろ?知り合いなんでしょ?女達が騒いでたからさ、あいつが怪我したって」


「あ…そっか。……あれは偶然、倒れてんの見つけただけだし……」


「へぇ~、ま、それはどうでもいいけどさぁ」


なんだよそれ、とツッコミたかったけれど、颯人とのことをあれこれ訊かれなくて済みそうで内心ほっとした。


「七瀬ってさ、芹沢と付き合ってるってホント?」


「芹沢……誰?」


「芹沢茜、七瀬と同じクラスの奴。知らない?」


茜、って名前を聞いた瞬間、またあの香りを思い出して胸がギュッと掴まれたような錯覚。


俺は無関心を装ってさり気なく答えた。


「あぁ…見たことある、まあまあ可愛い子だろ?保健室に見舞いに行ってた」


すると林は珍しく顔をしかめた。女の話するときはいつだってにやけてる奴なのに……。
なんだか言い出しにくそうな表情で俺を見た林は、小声で話し出した。



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