Forbidden Desire~秋風に舞う葉のように~
颯人が手にしているのは薄い本だった。
『地獄の季節』
知らないタイトルだ。
文学には疎い俺。ホラーかなにかだろうか?
視線が気になったのだろうか、颯人はまた顔を上げ俺を見た。
「何?」
「いや……別になにも」
…気まずいな。
俺はさり気なくドアに手をかけようと腕を伸ばした。
ノブに指がかかる直前、颯人がまた話し掛けてきた。
「行っちゃうの?」
黒い瞳が俺を見る。
また、心拍数が跳ね上がった気がした。
「あ、邪魔だろ?その…読書の…」
「別に構わないよ、読書にも飽きてきたとこだったし、話し相手になってくれるとありがたいな」