Forbidden Desire~秋風に舞う葉のように~
――錆びたドアを開ければ湿った空気がひんやりと体を包んだ。
「寒……っ」
そういえば今日は雨降りだったと、今更に思い出した。
シトシトと降る秋の雨は、どこか寂しげで憂鬱な気分にさせる。
俺は引き返すのも億劫で、屋上のドアにもたれかかってしゃがみ込んだ。ドアの上だけは庇があるからかろうじて濡れることはない。
「はぁ……」
短く吐き出した溜め息は雨音にかき消された。
今日は遠くの街並みも雨で煙ってよく見えない。
「つまんねぇな…」
そんな呟きを足元のコンクリにこぼしてみた。