Forbidden Desire~秋風に舞う葉のように~


颯人は、俺が渡された煙草を指にはさむと、さり気ない動作でライターの火をつけ、差し出してきた。


「……サンキュ」


その火にゆっくり煙草を近付ける……けれど、うまく火がつかない。


……なんでつかねぇんだ?


俺が眉を寄せて四苦八苦していると、フッと目の前の颯人が小さく噴き出した。


「螢…ふはは!もしかしてお前、煙草初めて?」


「わ、悪いかよ!…煙草でも吸わなきゃやってらんねぇ気分だったんだよ!」


熱かった顔がまたさらに熱くなった。たぶん、赤くなってるだろう。


「ちょっと貸して…」


スルリと指の間から煙草が奪い取られ、そのまま颯人の口元へおさまった。




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