Forbidden Desire~秋風に舞う葉のように~


「なに、って別に……」


「煙草でも吸わなきゃやってらんないコトがあったんだろ?」


とくん。


黒い瞳が意外と間近なことに驚く。


よく考えたら庇の下は狭く、男二人並ぶのも窮屈だ。顔が近いのは当たり前だった。


そして…今更気付いた。
颯人の左肩が雨に濡れていることに。


「ちょっ…颯人濡れてんじゃん!もっとこっち来いよ、俺、平気だから」


そう言って俺はしゃがんだまま少しずれた。
当然今度は自分の右肩が雨に晒される。


颯人が雨に濡れるよりは、いい。


そう思った瞬間、その肩に腕を回され、引き寄せられた。


「ばぁか、それで螢が濡れてたら意味ないだろ。ちゃんと雨避けてろよ」


「……あ、あぁ……でも……」


「ん?でも、何?」


不思議そうな顔で俺に顔を向ける颯人。


……ち、近い。それに…。


「あ、あの……くっつきすぎ…じゃねぇ、か?」


肩に腕を回されたまま、抱き寄せられるような格好になって……。





< 118 / 202 >

この作品をシェア

pagetop