Forbidden Desire~秋風に舞う葉のように~
「なに、って別に……」
「煙草でも吸わなきゃやってらんないコトがあったんだろ?」
とくん。
黒い瞳が意外と間近なことに驚く。
よく考えたら庇の下は狭く、男二人並ぶのも窮屈だ。顔が近いのは当たり前だった。
そして…今更気付いた。
颯人の左肩が雨に濡れていることに。
「ちょっ…颯人濡れてんじゃん!もっとこっち来いよ、俺、平気だから」
そう言って俺はしゃがんだまま少しずれた。
当然今度は自分の右肩が雨に晒される。
颯人が雨に濡れるよりは、いい。
そう思った瞬間、その肩に腕を回され、引き寄せられた。
「ばぁか、それで螢が濡れてたら意味ないだろ。ちゃんと雨避けてろよ」
「……あ、あぁ……でも……」
「ん?でも、何?」
不思議そうな顔で俺に顔を向ける颯人。
……ち、近い。それに…。
「あ、あの……くっつきすぎ…じゃねぇ、か?」
肩に腕を回されたまま、抱き寄せられるような格好になって……。