Forbidden Desire~秋風に舞う葉のように~

ふわり、穏やかな笑顔を浮かべるその顔は意外にも人懐っこい印象を俺に与えた。


俺はノブにかけようとしていた手をそのまま頭に持って行き、ポリポリと掻いた。


話し相手って…。


「何を話せばいいわけ?」


「その前に、座ったら?」


颯人の隣を当然のように指さされて、俺はぎこちなく腰を下ろす。


……なんで俺、よく知りもしねぇ奴の隣に仲良く並んじゃってんだ?


そんなこと考えながら隣の颯人の顔を見れば、読んでいた文庫本をパタンと閉じてこちらを向いた。


長めに伸ばした黒い前髪が目に入りそうで。真っ黒な瞳に真っ黒な睫、長い。


「秋川は何年生?俺、2年」


薄い唇が笑みを浮かべながら動く。


「俺も、2年。C組だけど」


俺は少し緊張しながら答えた。


(なに緊張してんだ、俺?!)




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