Forbidden Desire~秋風に舞う葉のように~


柔らかい髪に、触れる。それをくしゃくしゃっとかき回してやる。


「なに…してんの?」


「いや…なんとなく?」


触りたかった、なんて言ったらヒかれるよな。


「ふっ、変な螢。で?螢の悩みは何?」


笑いを滲ませながら颯人がまた同じ質問をした。


「いや…俺の悩みなんかどうでもいいし。お前の方が……大事だし?」


うわ…気持ち悪……。


自分で言っておきながら、言った瞬間に後悔した。


あまりの恥ずかしい言動に俺は颯人から顔を背けて、雨に濡れるフェンスとその向こうの空に目を向けた。





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