Forbidden Desire~秋風に舞う葉のように~
「……茜が、さ」
「…?!」
ピクリ、少しだけ肩が震えてしまった。
その名前に、さっき林から聞いたばかりの話を思い出す。
「……うまく、いってない、のか?」
まさか…な。
俺は颯人の髪からそっと手を離して、さり気なく肩に手を置いた。
まるっきり肩組んでる格好だ。なんだかおかしい。
それでも気にせず颯人は俺の肩にもたれかかったまま、小さな溜め息を一つ吐いた。
ふわり、またあの香りが鼻をくすぐった。
――茜の、匂い。
チクリ、胸が痛い。
「あの子が…どうしたんだよ?」
雨粒の跳ねるコンクリートを見つめながら、訊いてみた。
颯人はしばらく押し黙ったままだった。
すると、不意に颯人が頭を上げて肩が軽くなった。