Forbidden Desire~秋風に舞う葉のように~
颯人は見た目の落ち着いた雰囲気とは違い、話しやすい奴だった。
よく笑うし、よくしゃべった。
「意外だな」
ひとしきり自分たちのことや学校のつまんなさを話した後、一言呟いた俺に颯人は、え?という顔をした。
「いや、なんか七瀬の外見だとすっげえクールな奴って感じに見えたからさ」
ははっと笑いながら俺が言うと、颯人は納得したように頷いた。
「よく言われるよ、それは。だけど、あんまり嬉しくないな…みんな結局いつも外見でしか判断しないから」
少し顔を歪ませて言う颯人は寂しそうな微笑みを浮かべていた。
傷つけた…?
途端に胸がチクリと痛んだ。
「ご、ごめん!そんな気にしてると思ってなくて…悪い」
「いいよ、いつものことだから慣れてるし。螢が悪気があって言ったんじゃないのはわかってる」
風に流れる髪を手で掻きあげながら笑う颯人。
“螢”と名前を呼ばれたことに俺は戸惑っていた。
会って間もない相手に名前を呼び捨てにされるとは…。