Forbidden Desire~秋風に舞う葉のように~
目の前が揺れた、ような錯覚。
頭の中がぐらりと揺さぶられた気がした。
何か言うべきなのに、何も言葉が出てこない。
息をするのも苦しかった。
固まったままの俺を、茜は、くす、と笑った。
「否定しないってことはそうなんだ?」
さっきまでと打って変わって、冷えた瞳が俺を見つめていた。
壁にもたれたまま腕を組んだ彼女は、軽蔑の視線で俺を見る。
その強い視線に、思わず目を逸らして足元を見た。
「颯人の彼女は私なの、これ以上彼に近付かないで。もし…また颯人に近付いたら……この事、バラしちゃうから」
「な……っ!?」
茜の言葉に思わず顔を上げると、口角を上げてニヤリと笑う顔が目の前。
「わかるわよね?そんな事したらあなたどうなるか?大好きな颯人にも迷惑がかかるわよ」
……なんて女だ、こいつ…!