Forbidden Desire~秋風に舞う葉のように~


目の前が揺れた、ような錯覚。


頭の中がぐらりと揺さぶられた気がした。


何か言うべきなのに、何も言葉が出てこない。
息をするのも苦しかった。


固まったままの俺を、茜は、くす、と笑った。


「否定しないってことはそうなんだ?」


さっきまでと打って変わって、冷えた瞳が俺を見つめていた。


壁にもたれたまま腕を組んだ彼女は、軽蔑の視線で俺を見る。


その強い視線に、思わず目を逸らして足元を見た。


「颯人の彼女は私なの、これ以上彼に近付かないで。もし…また颯人に近付いたら……この事、バラしちゃうから」


「な……っ!?」


茜の言葉に思わず顔を上げると、口角を上げてニヤリと笑う顔が目の前。


「わかるわよね?そんな事したらあなたどうなるか?大好きな颯人にも迷惑がかかるわよ」


……なんて女だ、こいつ…!




< 130 / 202 >

この作品をシェア

pagetop