Forbidden Desire~秋風に舞う葉のように~
怒りが込み上げてきたけれど……殴るわけにもいかない。
俺は唇を噛んで、拳を握り締めたまま、鋭い視線だけを茜に向けた。
勝ち誇ったように笑う彼女は、更に付け加えるように言葉を吐く。
「だいたい、いくら好きだって女じゃないあなたに勝ち目はないしね。颯人は今までで一番見た目もいいし、性格もいい。私にぴったりなのよ、せっかく手に入れた獲物、横から手を出さないでね」
茜は小さな声だけれど、ハッキリとそう言った。
すぐ近くに颯人がいるっていうのに…有り得ない。
「…それが本心かよ。颯人のこと……本気で好きなんじゃねぇのか?!」
声を押し殺すように俺は茜に問い掛けた。
今にも怒鳴り散らしたいくらい、怒りの感情が胸の中を支配していた。