Forbidden Desire~秋風に舞う葉のように~
あぁ、やられた。
そんな風に思った俺の、心の中で何かが壊れた気が、した。
自分を憎々しげに睨む颯人の顔と、勝ち誇った笑みを浮かべる茜の顔と。
交互に見ながら、フッと笑いが漏れた。
何かを諦めた時の笑い。
その微かな笑みに、颯人は気付いた。
「なに笑ってんだよ?!ふざけんなよ、螢!!」
颯人が怒鳴った。
それでも俺の喉からは笑いが込み上げてくる。
……馬鹿らしい。
なにやってんだ俺?
なんだかどうでも良くなった。
全部、放り出したくなって、俺は口を開いていた。
「そうだよ…俺が、お前をこの女に盗られたくなくて、近付くなって言った。頬も叩いた。……そう言えば満足?」
にやりと、笑って見せてやる。
そんな俺の言葉と表情に、颯人は一瞬驚きの色を見せた後、すごく、悲しそうな表情になった。
今にも泣きそうな。
…あぁ、傷付けた。
…そう、思った。