Forbidden Desire~秋風に舞う葉のように~


――噂が広まるのは波紋が広がるように急速だった。


俺があの屋上への階段で颯人と別れた日から1週間と経たないうちに、噂は生徒達の口から口へと伝わった。


『2年の秋川が隣のクラスの七瀬に惚れてる。しかも一方的に関係を迫ったらしい』


言い方はさりげないけれど、要は俺が颯人を犯そうとした、ってわけだ。


……最低だ。


クラスメイトの俺を見る目は、まるで汚いモノを見るかのように冷たくて、肌にチクチクと刺さった。


女子生徒は当然、男子生徒ですら俺には近付かなくなった。


誰がそんなくだらない噂を流したかなんて、もちろん分かってた。


でもそんな噂話をいちいち否定する気力もなくて、俺はただ空虚な毎日を過ごしていた。





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