Forbidden Desire~秋風に舞う葉のように~
颯人の姿はあれ以来見ていなかった。
見たら見たで、自分が落ち込むだけだろうとは思っていたから、ある意味これでいいんだと言い聞かせていた。
放課後、俺は屋上のフェンスに寄りかかって林を待っていた。
手には火のついた煙草。ここ数日で慣れたそれを、口にくわえて頬杖をついた。
「…さみぃ……」
冬が間近の冷たい風が頬や指先を凍えさせる。
フッと煙と溜め息を同時に吐き出すと、バサバサッと羽音が聞こえた。
カシャン…。
いつかみたいにフェンスに一羽のカラスが留まって、俺をジィッと見つめてきた。
「……なんだよ。俺を笑いに来たのか?それとも憐れみに?」
苦笑いでカラスに話し掛けてみる。
するとその言葉に反応したかのように、カラスは頭を傾げ、一声鳴いた。
それがまるで「情けねぇなぁ」って感じに聞こえた。