Forbidden Desire~秋風に舞う葉のように~


その無機質な黒い瞳をジッと見つめていると、背後でドアの開けられる音が聞こえた。


ゆっくり振り向くと、相変わらずヘラヘラ笑う林が立っていた。


「……よっ、悪い悪い、遅くなって」


「……なに?俺と話してるの見つかったら、お前まで噂になるぞ」


そう言って、自虐的な笑みを浮かべた俺の言葉に、林は意外な答えを返した。


「言いたいやつには言わせときゃいいんだよ、俺は信じてないし、あんな噂」


俺にもちょうだい、と林は俺の煙草を指で示して、横に並んだ。


それと同時にフェンスから黒い鳥が飛び立つ。


それを無言で見送ってから林は呟いた。


「芹沢だろ?あの噂…」




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