Forbidden Desire~秋風に舞う葉のように~
翌日の昼休み、俺は緊張する自分を必死で隠しながら隣のクラスの戸口に立った。
ザワザワと賑やかだった教室内、俺の姿を認めた奴らからピタリと口を閉ざし、好奇の目で俺を見る。
まだ、他のクラスの生徒はあの噂を信じている者の方が多いのだろう。
特にこのクラスには茜がいる。
……やりにくいな。
好奇心丸出しの視線に、胸の内で舌打ちしながらも颯人の姿を素早く探した。
窓際の一番前の席。そこに彼は座っていた。
俺のことなど目もくれず、手にした本に視線を落としている。
速くなる胸の鼓動を感じながら、俺は教室の中へ足を踏み入れた。無表情で、颯人だけを見つめて彼の席の前まで行った。
俺が彼の読む本に影を落としても、顔を上げない。
「…颯人」
呼び掛けてみる。
けれど颯人は無反応で下を向いたまま。
「颯人」
もう一度呼んでみた。
すると、教室の中の誰かが声を出した。
「颯人ちゃーん、ダーリンのお迎えかぁ~?さっさと答えてやれよ~っ!」