Forbidden Desire~秋風に舞う葉のように~


ピクリ。


本を持つ颯人の指先が震えた。


「……なに?」


顔を伏せたままの颯人の声が小さく耳に届いた。低く、震えた声。


「話が、ある。屋上に来てくんねぇか。……俺、先に行ってるから」


早口でそれだけ言うのが精一杯だった。
この居心地の悪い空気の中を早く抜け出したい、そう思って、俺は颯人の前から立ち去ろうとした―――。


「待てよ」


クイッ、と制服の上着の裾を引かれた。


振り返ればカタン、と音を立てて立ち上がった颯人の細い指が、俺のブレザーを掴んでいた。


「今行くから、待ってろ」


そう言った颯人はスッと制服から手を離し、読んでいた文庫本を机の中にしまってから俺の横に並んだ。


「二人でどこ行くんだよ~?手でも繋いでお出かけかぁ?」


「ははっ!手ぇ繋ぐだけで済めばいいけどなぁ!」


………っっ!!





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