Forbidden Desire~秋風に舞う葉のように~
温かい日差しの当たる屋上の壁に背を預け、ようやく俺は颯人の腕をそっと離した。
「……こんなとこまで連れて来て、なんの用?」
小さなため息を吐いた後、颯人は鋭い視線を俺に向けた。
その瞳に怒りよりも濃い、苦しみや悲しみが浮かんでいるように見えて、ハッとさせられる。
「ごめん…俺、自分のことばっかりで颯人の事、全然解ってなかった。……俺なんかよりも颯人の方が、絶対に苦しんでたはずなのに……本当にごめん!」
そう言って頭を下げたら、同時に目の前が揺らいだ。
涙が、零れ落ちそうで、俺はそのまま顔を上げられなかった。
どれくらいそうしていたか。
しばらく無言だった俺たちの静寂を破ったのは…。
「……螢」
颯人の声が聞こえた、と思った瞬間、ふわりと柔らかい感触が頭に触れた。
………?!
「俺の方こそ、ごめんな。俺、あの時頭に血が上ってて、何も考えずに螢のこと怒鳴りつけてた。…悪かった、本当に」
だから顔、上げろよ。柔らかい声で告げた颯人の顔を視線を上げて見れば、先程の鋭い視線はなく、いつもと同じ柔らかい瞳で俺を見る颯人がそこにいた。