Forbidden Desire~秋風に舞う葉のように~

「だろ?俺の秘密の場所」


颯人の声だった。
いつもの落ち着いた静かな声音。


俺はその場に固まってしまっていた。
理由は分からないけど。


「へぇ~颯人の秘密の場所かぁ!ね、ここ知ってるの、私だけ?」


「そう、茜だけだよ」


頭の中でグワンと何かが揺れた気分。


茜だけ?なんだよそれ?


嘘つき…!


そんな叫びを心の中で吐き出した。
胸が苦しかった。


きっと茜って子は颯人の彼女か、好きな子なんだろう。
この場所を教えたのは彼女だけってことにして、点数稼ぎってことだ。


別によくあること。そんなことに腹をたてる場面じゃない。


それは解ってた。


けど……わけもなく胸がモヤモヤして苛立ちが心を支配していた。


この感情は何だ?


その場所から動くことも出来ずに俺はただ耳を塞いで目の前のフェンスに留まるカラスを睨みつけていた……。




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