Forbidden Desire~秋風に舞う葉のように~


「……っ!!」


颯人が声にならない声を吐き出したのが、分かった。
とっさに立ち上がったその右腕を、俺は掴んで引き止めた。


何するんだって顔で、俺を見る颯人に首を振って、出て行くな、と小さく告げた。


「その通り、颯人のことは顔もいいし、女子からも人気があるし、性格もいい。そんな彼の彼女になれば、私の株も上がる。だから彼の彼女になった」


「で、いつ捨てる?飽きたら俺と付き合ってくれる?」


「まだ飽きないわよ。……でも、どうしてもって言うなら付き合ってもいい。ただし、颯人には秘密でね」


………。


愕然とした表情になる目の前の颯人の顔。
小刻みに震える、唇。
心なしか顔色も悪くなっていた。


……最低な女だ、マジで。


颯人を引き止めたのはいいけれど、今度は自分が飛び出して行きたい衝動に駆られた。


しかし、そこにあっけらかんとした林の声が響いた。






「……だってよー、七瀬ぇ!」











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