Forbidden Desire~秋風に舞う葉のように~


フッと颯人の視線が、茜に向けられた。
しっかりと意思のある視線。


しかしその表情はなんの感情も浮かべていないまま。


颯人はゆっくり、けれどきっぱりと言った。


「汚いなんて、言うな」


「え?」


「今、螢のこと、汚いって言っただろ。取り消して」


茜が一瞬、訳がわからないって顔で颯人を見つめた。
それを見る颯人の表情は真剣で、怒りさえも滲ませているみたいだ。


「何、言ってんの…?」


茜の顔は徐々に歪んだ笑みを作る。


「冗談でしょ?この人のことかばうわけ?!……男のくせに、颯人のこと好きだなんて言って、いやらしい目であなたを見てるのに!?」


ズキ、と胸の奥が痛くなった。
たったそれだけの茜の言葉に、自分の全てを否定されたような気がした。










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