Forbidden Desire~秋風に舞う葉のように~
「螢は?なんか気に入った詩、あった?」
颯人は興味津々な表情を向けてくる。
「あぁ…えっと、確か“永遠”ってやつが結構好きかも。海と太陽がなんとかってやつ?」
「それ俺も好き。海に行って夕日が沈むの見てみたくならねぇ?」
「あ~なるなる!見たい!」
俺と颯人はそんなたわいのない話題で、随分長い間話し続けていた。
さっきまでの茜との険悪で気まずい空気なんて、すっかり忘れて。
あっという間に朱く染まった西の空、遠くに、羽ばたく小さく鳥の影が見えた。
「……そろそろ帰るか?」
人気の少なくなったグラウンドを見下ろして、俺は颯人に声を掛ける。
腰を下ろしていた彼は、そうだな、と言いながらゆっくり立ち上がった。
「螢……」
「ん?」
屋上の扉に手をかけようとした時、声を掛けられた。