Forbidden Desire~秋風に舞う葉のように~
笑いが収まった後、颯人はフッと短く息を吐き出した。
「……なんていうかさ、螢と一緒にいると楽なんだよなぁ」
笑顔を浮かべたまま颯人は言う。
「楽ねぇ~…それはどういう意味でとればいいわけ?」
俺は口元を拭って、またペットボトルに口をつける。
颯人の言う意味はただ単に友達として?
それとも……。
確かめたい。そう思った。
俺は誰もいない公園を見回してから、颯人に自分の右手を差し出した。
それを見て、当惑する颯人。
「颯人、手、貸して」
「…これでいいか?」
そっと俺の手のひらに颯人の左手が重なる。
少し冷たくてさらりとした感触。
トクン。
俺の心臓は早足になった。
「…俺の手に、触るのは嫌い?」
颯人の黒い瞳は揺れることなく俺を見た。
深い深い、黒。
「……嫌いじゃない」
小さな声で、だけどきっぱりと颯人は答える。