Forbidden Desire~秋風に舞う葉のように~
「俺、さ……まだ、ちゃんと、螢のことが好きだとは言えない。だって、俺も螢も……男だし…」
耳元でゆっくりと囁くその声は穏やか。
背中を抱く颯人の右手は暖かかった。
声も出せずに俺は固まっていた。
ただそのまま颯人の言葉の続きを待った。
「でも……でもさ、これだけは言える。……少なくとも俺は、螢と一緒に過ごす時間が好きで…螢の顔を見てるのも好きで…、こうやって……手を繋ぐのも、好きだよ」
――好きだよ。
その声が耳に注がれた瞬間、不意に込み上げた涙。
泣く、つもりなんてなかったのに。
「……それだけでも、充分だよ、颯人」
声が震えた。