Forbidden Desire~秋風に舞う葉のように~
「さ、そろそろ帰ろうぜ。それともどっか行きますか?」
颯人にグイッと引っ張られた。
そういえば手を繋いだままだ。
「颯人、手……」
「公園出るまではいいだろ?もうちょっと繋いでたいんだ」
その言葉に心が暖かくなった。
なんか…俺、颯人のひとことひとことに心揺さぶられっぱなしだ。
ベンチから立ち上がり、俺は颯人と並んで歩きだした。いつもと変わらない筈なのに、少しだけ何かが変わったような気がした。
……このまま、時間が止まってくれたらいいのに…。
なんてありきたりな事が思い浮かんで、俺は小さく笑った。
「なに、螢?」
さらりと吹く風に髪を揺らしながら颯人が横目で視線を寄越した。
「何も」
くすくす笑いながら答えた俺に、変なの、と呟き颯人も笑った。
そんな彼の横顔を見ながら俺は小さく小さく囁いた。
「大好きだよ、颯人」