Forbidden Desire~秋風に舞う葉のように~


気付けば俺は、あの公園のベンチに座っていた。


颯人を初めて見た、あの公園。


もう夕日も西の彼方に姿を隠し、空は茜色から濃紺の空へと移っていた。


暗くなった公園には街灯がぽつぽつと灯っている。
当然ながら、こんな時間には誰もいない。


「あ~あ……」


俺は溜め息混じりの声をあげ、空を見上げた。


ベンチのすぐそばの街灯に、銀杏の葉が照らされていた。


……俺、どうしたんだ?颯人に好きな奴がいるってだけで、動揺してる…。


ほんのりと、緑から黄色へ黄葉しつつある銀杏の葉。


明かりに照らされたそれは、頼りなくて儚げに見えた。


なんか、今の俺みたいだ…。


ふっと、自嘲の笑みを漏らし、しばらく俺は座り込んでいた………。






後から思えばこの時、俺の心も少しずつ颯人に染まり始めていたのかもしれない……。






< 23 / 202 >

この作品をシェア

pagetop