Forbidden Desire~秋風に舞う葉のように~
気付けば俺は、あの公園のベンチに座っていた。
颯人を初めて見た、あの公園。
もう夕日も西の彼方に姿を隠し、空は茜色から濃紺の空へと移っていた。
暗くなった公園には街灯がぽつぽつと灯っている。
当然ながら、こんな時間には誰もいない。
「あ~あ……」
俺は溜め息混じりの声をあげ、空を見上げた。
ベンチのすぐそばの街灯に、銀杏の葉が照らされていた。
……俺、どうしたんだ?颯人に好きな奴がいるってだけで、動揺してる…。
ほんのりと、緑から黄色へ黄葉しつつある銀杏の葉。
明かりに照らされたそれは、頼りなくて儚げに見えた。
なんか、今の俺みたいだ…。
ふっと、自嘲の笑みを漏らし、しばらく俺は座り込んでいた………。
後から思えばこの時、俺の心も少しずつ颯人に染まり始めていたのかもしれない……。