Forbidden Desire~秋風に舞う葉のように~


冷たい。


指先から、足のつま先から、体が冷たくなっていく気がした。


反対に、自分の顔が、頬がすごく熱く感じる。


俺の視線は、颯人の顔じゃなくて、女の指先にしか注がれていない。


「茜、ごめん。今日は先に帰ってくれる?」


俺の視線に気付いたのか、颯人はさり気なく彼女の手から逃れ、優しく囁いた。


「え?だって今日はこれから…」


「ごめん。こいつと大事な話があるんだ。埋め合わせは絶対にするから、ね?」


頬を可愛く膨らませている茜に、柔らかい声で諭すように。


そして……。






< 42 / 202 >

この作品をシェア

pagetop