Forbidden Desire~秋風に舞う葉のように~
腕の中の颯人の温かさを感じながら、俺はふと傍らに立つ銀杏の樹を見上げた。
――あ、カラス。
真っ黒なカラスの黒光りする瞳と視線がぶつかった。
その足元の枝で一枚の葉が頼りなげに揺れた。
カラスの足の爪で辛うじて枝に留まっているのだ。
まるで俺の理性みたいだ。
なんてことを、一瞬思った。
「…馬鹿らしい」
刹那に思考が現実に引き戻された。
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