Forbidden Desire~秋風に舞う葉のように~
「あぁ~マジだりぃ。なぁ、今からカラオケでも行かねぇ?」
「あ?あ~~俺パス」
くるりと後ろを振り返ったクラスメイトの林に気のない返事をした俺は、窓際にある自分の席から中庭を眺めていた。
秋川螢(アキカワケイ)。
それが俺の名前。高校2年のどこにでもいるだらけてる学生。
「なんだよ付き合いわりぃな、螢」
林は口を尖らせてみせる。
「悪い、気分じゃねぇ。それより女連れてきゃいいだろ、お前モテるんだから」
あ、カラス。
いいな、アイツら自由に空飛べて…。
「え~、じゃあ香奈でも呼び出してみっか…」
目の前でケイタイを取り出しメールを打ち始めた林。
それをチラリと見て、再び外に目線を戻した。
中庭はそろそろ秋の化粧を始める頃だった。
花壇に植えられたコスモスが白やピンクの花を咲かせ、緑ばかりの景色に華やかさをプラスしている。