Forbidden Desire~秋風に舞う葉のように~
雷が、鳴りそうな日だった。
遠くの空が黒い雲で覆われて、どんよりとした顔を見せている。
久し振りに屋上に来た俺は、フェンスにもたれかかってその薄暗い空を何の感情もなく見つめていた。
ゆっくりと視線を動かして眼下に見える街並みを眺める。
まだ昼間なのにも関わらず、街の景色はぼんやりと灰色がかって見えた。
――あの日。颯人が言ったことを思い出して、溜め息をつく。
なんで俺が……。
そう思っても逆らおうものなら、あの写真をばらまかれる……。
それを想像しただけで寒気がした。
あれが冗談であってほしいと、何度思ったかしれない。
「あ~も~、何やってんだ俺……マジ死にてぇ……」
フェンスの下を見下ろし、手に力を込め、ぐっと勢いをつけてフェンスに足をかけた……。