Forbidden Desire~秋風に舞う葉のように~


シンとした保健室の中、カーテンで仕切られた向こう側のベッドへそっと近寄った。


気を失ったまま眠ってしまったのだろう、静かな寝息を立てて颯人が横たわっている。


音を立てないようにパイプ椅子を引き寄せ、その傍らに腰を下ろした。


「……なんで俺なんか助けてんだよ…」


ポツリと呟いた。


無防備に眠る颯人の整った顔をジッと見つめる。


さらさらの黒髪と、同じく漆黒の長い睫毛。
形の良い鼻に、薄く艶のある唇……。


ふっと、ついこの間この唇に触れた時の感触を思い出した。


「………っ!」


カッと顔が熱くなる。


目の前の微かに、無防備に開かれた唇に、意識が行ってしまう。






愚かな思考が、また、頭をもたげた。







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