覚悟はいいか!【完結しました】
対峙



少しずつ目が覚めていく感覚と共に沸き上がってきたのは、みのりさんから向けられた憎悪


みのりさんを苦しめていたのは他でもない私だ
こんなに身近な人を傷付け続けていたのだ
そんな事もわからずにみのりさんに助けを請うなんて


それなのに、自分はまだみのりさんが大好きなのだから
傷付け続けた私をみのりさんは許してなんてくれない
もう、私の事を"優ちゃん"とは呼んでくれないだろう


「優?目が覚めた?大丈夫か?」

「誠さん、」


きっと、事実を言えば誠さんも私を恨むかも知れない
大事な幼なじみを………


「優、身体大丈夫か?会わせたい人がいるんだ」

「会わせたい人?」

「あぁ、いいか?」

「うん」

「先に菊地に了承もらわないとな、あいつ怒ったら怖いから」


そう言って誠さんは病室を出ていった
呼びに行ってくれたのかな?


「優ちゃん、目が覚めたのね」

「先生………」

「大丈夫?武内くんから聞いたわ、少し疲れてて倒れちゃっただけだから面会とかは大丈夫だからね
でも、優ちゃんがしんどいならダメよ」


先生の言葉に"はい"と答えながら笑った
あぁ、私まだ笑えてる


「あ、先生、菊地先生?」

「あぁ、旧姓ね、今は川口よ」

「もしかして、整形外科の?」

「そうよ、この前会ったんだよね?」

「はい、すごく素敵で優しくて!
先生とすごくお似合い!」


そう言うと、先生は驚いてから私の頭を撫でてくれた


「そんな風に言ってもらえて嬉しいわ」


笑いながら言う先生は少しだけ寂しそうに見えた
立ち去る先生の背中も…………





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