覚悟はいいか!【完結しました】
「やっぱり!誠でしょ?」
「……………」
「5年ぶりかしら?誠……いい男になったわね」
女性はそっと誠さんの胸に手を添えた
チクリと胸が痛い
5年………その数字は
「私、旦那とは別れたのよ………
誠………」
そのまま身体を添えている
その仕草は女の私でも魅力的だった
5年………
旦那………
キーワードが揃った気がする
間違いない
元カノさんだ
「あら、ごめんなさい」
女性がやっと気付いた様に私に目を向けてきた
「妹さん?誠、妹いるって言ってたわよね?」
その瞬間、繋いでいた手を離した
離したのは、私
「帰ります、ごゆっくり」
誠さんの目を見ることができなかった
早くこの場から離れたかった
誠さんは何も言わなかった
私の名を呼ぶことも無かった
追いかけてくることも無かった
私は振られちゃうのかな?
じわっと涙が浮かんでくる
誠さん、彼女に触れられてた手を振り払わなかった
「あれ?優ちゃん?」
呼ばれてハッとして顔を上げれば、司さんだった
瞬間、我慢していた涙を止めることが出来なかった
「大丈夫?………どうしたの?
そうだ!優ちゃん良かったらうち来ない?」
「え?」
「今日は洋介もいてるの、私も買い物終わったし一緒にどう?」
司さんは、私が気にならないように努めて明るく言ってくれている
司さんにまで心配かけちゃった
誠さんのお友達なのに、ダメ