覚悟はいいか!【完結しました】
同期だけど




「津川」とよく知っている低い声で
いつも呼ぶように声を掛けられた


「やっぱり、知り合い?」

「………会社の、課長」


ふーん、と意味深な笑みを浮かべた美幸はちらっと課長に視線を移した
そのあと、「やっぱり、知り合いだったんだ!じゃ、ごゆっくり」なんて言ってさっさと帰ってしまったのだ

何がごゆっくりじゃー!


「いや、み、美幸……」


あっという間に呼び止める声も聞こえない程の距離
早いでしょ!



「いい女がいるなぁとは思ってたけどもう一人はお前だったのか」


そう言って美幸が座っていた席に座ってしまった
もう一人が私ですみませんね!
いやいや、その前に貴方、女性と一緒にいましたよね?
そんな時に他所の女を見てはいけないでしょうよ
「そりゃ、怒られるよ」の言葉は寸前で飲み込んだ


「課長のお相手の女性の方がいい女に見えましたけど?」


色々な言葉を飲み込んで、皮肉混じりにそう言うと小さく舌打ちして、
「嫌なとこ見られたな」と気まずそうにまた頭を掻いた
頭を掻くのは困った時の癖なのかな?

何だかその仕草が無性に可愛く見えてクスクスと笑ってしまった
課長は何故だか驚いて「暫く付き合え」とお酒を追加して二人で飲んだ



女癖が悪いと噂の課長なので警戒したがあまりにもフラットな会話に警戒も溶けていくのは早かった
モテるだけあって話もうまいし、女性の扱いにも慣れているからお酒も進み段々、気分も良くなっていた




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