覚悟はいいか!【完結しました】




「はい、紅茶にしたよ」

「ありがとうございます」


いつもの香りに落ち着く
だんだん、涙が滲んできた
気付かれないように紅茶に口を付けていた


ポンと頭を撫でられて「怖かっただろ?おいで」
抱き締められた腕の温もりに緊張していた私の心は解けた

今になって恐怖に襲われる
安心できる人が傍にいるから

あのまま誰にも気付かれなかったら………
あと、何時間一人の時間を過ごしただろうか………


「優…………」


私の涙に誘われたのか、誠さんの声も少し涙声だった
背中を擦ってくれる手は優しくて


「落ち着いたら話して?」

「はい」


私は深呼吸してから話始めた
故意ではない
秘書課のみんなもちゃんと探してくれた
あのみんなの笑顔には嘘はない


「警備が?」

「たぶん、川原主任が鍵取りに行ってくれて………
返すときに怒っておくわって言ってました」

「そうか、」


誠さんは、腑に落ちない感じではあった
たぶん、秘書課の"誰か"の嫌がらせだと思ってるんだろう


「秘書課の人達とはちゃんと話が出来ました
潔くて、謝罪とこれからもしっかり鍛えてくれるみたいです」

「うん、優の頑張りを認めてくれたんだね
ただ、女子って怖いと言うか……
前の職場でも苛めがあったり、男性の前と態度も違うから怖いよな」


はーっとため息を吐いている
確かに怖い




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