覚悟はいいか!【完結しました】
未読メッセージ
「優?」
声を掛けられて見上げた先に驚いた
「み、充………」
「どうした?泣いてる?」
頬に触れた手が優しくて涙が零れていく
久しぶりの充
別れてから会うことも無かったのにすぐわかった
瞳はあの時のまま
充は一瞬顔を顰めて私の腕を掴んで歩き始めた
「み、充………」
私は戸惑いながら抵抗するも充は手を離すことなくズンズン歩いている
マンションが見えて中に入っていくのがわかった
流石にマズイ
例え傷心だったとしても、昔の彼氏と一緒にいるのはダメだ
無駄な抵抗だとはわかりながらも腕を離そうとするが充はお構いなしに更に進んでいく
廊下に充と私の足音だけが響いた
扉の前で止まった瞬間ドアが開いて「お帰り」と言った女性は私を見て「どうぞ」と優しく笑ってくれた
充は私を先に中に入れてしっかり鍵を掛けてからやっと私の手を離した
背中を押されて座らされる
「もう!充、手が真っ赤になってるじゃない!
大丈夫ですか?」
私がコクリと頷くとホッとしたように笑った
その笑顔に少しだけ緊張が溶けた
「私、莉奈と言います
優さんですよね?」
私は戸惑いながらも頷くと「充と付き合っています」と言われた
わかっては居たけど、気付いてはいたけど
やっぱりダメだ
そう思って立ち上がろうとするが充がしっかり後ろに立っていた