略奪"純"愛 『泣かすなら俺がもらう』
新人研修
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新人研修

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「小川くぅん、ここ、よく分かんないから、
教えてくれない?」

鼻につく甘ったるい声で寄ってくる女。

香水の匂いも鼻につく。

どさくさ紛れに肩や腕に触ってくる。

俺はこういう女が大嫌いだ。

これがその女にとっての標準で、24時間そうであるなら、それも構わないが、ほぼ100%の割合で、そういう女達は、恋愛対象外の男や自分より下だと判断した女には、信じられないくらいに偉そうに振る舞う。

俺は、背も高く、そこそこルックスもいいらしい。

学生の頃から、寄ってくる女は後を絶たない。

だけど、俺の中身も知らないのに、俺を好きだなんて、どうして言える?

電車で見た、試合で見た、そんな理由で好きになられても、困るだけだ。

もちろん、ちゃんと俺を見て、俺を知った上で好意を寄せてくれる人には、ちゃんと向き合うし、真摯に受け止めて答えようと思う。

だけど、一目惚れという奴は、信用ならないと思っている。

俺、小川天(おがわ そら)は、少々、女性不信気味なのかもしれない。
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