略奪"純"愛 『泣かすなら俺がもらう』
俺は、結の部屋のチャイムを鳴らした。

─── ガチャ

結が出てきた。

「あ… 」

結は、俺だとは思わなかったみたいで、俺の顔を見た瞬間に、ドアを閉めようとする。

俺は、慌ててドアを掴んで、無理矢理、中に入った。

結は泣いていた。

「結、何があった?」

俺は親指で結の頬の涙を拭った。

「お願い。帰って。」

結はそう言って、俺を押し返そうとする。

「結、話して。何があった?」

結は何も言わず、ただ首を横に振った。

「結、ゆっくりでいいから。
話せる事から話して。
座って、落ち着いて話そう?」

部屋に彼氏がいる様子はなかった。

俺は、靴を脱いで、結の肩を抱いて部屋に上がった。

俺が、結をローテーブルの前に座らせると、結は机の上に置いてあった物を慌てて掴んで隠そうとした。

俺はとっさに結の手首を掴んだ。

結の手に握られていたのは、妊娠検査薬だった。
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