略奪"純"愛 『泣かすなら俺がもらう』
8月19日(月)

春山さんが俺を会議室に呼んだ。

春山さんが俺だけを呼び出すなんて、初めてだ。

「小川、落ち着いて聞けよ。」

「? はい。」

なんだ?

「昨日、宮本から電話があった。
宮本と伊藤の結婚が破談になったらしい。」

「え!?」

「表向きは、妊婦である伊藤の体調不良の
ため、無期延期って事になってるが、事実上
の破談だ。」

「それって、子供は?
どうなるんですか?」

「生まれた後、伊藤の姉さん夫婦が引き取る
らしい。
だから、伊藤も後1年もしないうちに戻って
くるぞ。」

結が戻ってくる。

結が結婚しない。

夢みたいだ。

「でも、なんでそれをわざわざ俺に?」

「お前がこの2ヶ月、腑抜けてるからだろ。
このまま腑抜けてると、戻ってきた伊藤が、
やっぱり結婚すれば良かったって思うぞ。
シャキッと働け。」

そんなつもりはなかったけど、俺、腑抜けに見えてたのか。

「はい!」

結に相応しい男になるために、頑張ろう。

戻ってきた結を俺のものにするために。
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