略奪"純"愛 『泣かすなら俺がもらう』
「迷惑とは言われてないけど…
私がいると、甘えちゃうし、八つ当たりする
かもって…」

「は!?
で、遠恋? そりゃ、続かないわ。」

「なんで、あんたにそんな事言われなきゃ
いけないのよ!」

「だって、ただでさえ、仕事大変な時だろ?
遠距離なんて、会いたい時に会えないし、
思うように連絡できないし、心に余裕が
なきゃ、続かないのに、そんな理由で離れる
なんて、理解不能だわ。」

俺は、伊藤の彼氏が、伊藤と付き合ってるのに、伊藤を大事にしてない気がして、ムカついた。

王子とか言われて、余裕ぶってんのか?

だけど、ムカつく俺の前で、伊藤は、唇を噛み締めて震わせると、大きな目に涙をいっぱいに溜めた。

「悪い。言い過ぎた。」

俺は何をやってるんだ。

これじゃ、全然、仲直りどころじゃない。

俺は、ただでさえ、彼氏に置いていかれて辛い思いをしてる伊藤を責めて、追い込んで、傷つけただけだ。

俺のイライラをぶつける相手は、伊藤の彼氏であって、伊藤ではないはずなのに。
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