略奪"純"愛 『泣かすなら俺がもらう』
18時半。

みんながバタバタと片付けを始めた。

19時の開始時刻に間に合わせるため。

15分後、みんなで連れ立って会社を出る。

俺は、結と手を繋いで出る………が、

「ダメ。歓迎会も仕事のうち。
仕事中は、そういうの、禁止。」

と、結に拒否され、手を離された。俺は、

「ケチ」

と呟く。

「そんな大きな図体して、子供みたいな事
言わないの!」

そんな事を結が言うから、

「そんな小さな図体して、大人みたいな事、
言わないの!」

と言ってみた。

「はぁ!? 」

結が怒りかけた時、

「くくくっ」

と笑う春山さんが通りすがりに結の頭をポンポンと撫でていく。

はぁ!?

「向こうでいくらでも夫婦漫才させてやるから、
もう行くぞ。」

「だから、漫才なんかしてませんってば!」

と抗議する結の肩を、俺は抱き寄せた。
< 146 / 212 >

この作品をシェア

pagetop