略奪"純"愛 『泣かすなら俺がもらう』

「最初はグー、じゃんけんポン!」

太田さんがグーで、俺はチョキ。

はぁ…

俺は諦めて、浜井の隣に座った。

こんなはずじゃなかったのに。

「じゃあ、まず、主賓挨拶。」

小山係長が言った。

「え!? いきなりですか?」

結は、戸惑いながらも挨拶を始める。

「出戻りの伊藤結です。
皆さんには、いろいろとご心配をお掛け
しました。
ご存知の方も多いと思いますが、私の口から
近況報告をさせてください。

まず、私のわがままで、宮本課長との結婚は
破談となりました。
結婚式や二次会の準備をしてくださっていた
皆さん、申し訳ありませんでした。

そして、1月20日、無事、長女を出産しました。
3250gのかわいい女の子です。
名前は、『絆』といいます。
4月20日に私の姉のところへ特別養子縁組で
旅立って行き、娘でありながら、姪に
なりました。

遠回りはしましたが、いい人生経験をしたと
思っています。
これからは今まで以上に仕事を頑張ります
ので、よろしくお願いします。」
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