略奪"純"愛 『泣かすなら俺がもらう』
小山係長がひとつ席をずれて、俺は結の隣に座らせてもらった。

「さあ、小川、覚悟してここに来たんだろう
な?」

春山さんが言う。

「は? 覚悟?」

なんだ、それ?

結が、

「ここ、取調室みたいよ?」

と教えてくれた。

「ああ。別に何聞かれても構いませんけど?」

隠す事もないし。

「小川、よく言った!
じゃあ、ひとつ目の質問。
いつから、伊藤の事、好きだった?」

みんなが俺に注目する。

「んー、分かりませんけど、研修の時から
気にはなってましたよ?」

「は!? 研修?
だって、私たち、喧嘩しかしてなかった
じゃない!?」

結が驚く。
ま、そうだよな。

「だから、だよ。
その頃、俺の周りって、女子の前だとガサツ
なのに、俺の前だけいい女ぶってる奴とか、
ルックスがイマイチな男子を顎で使うくせに、
やたら俺にだけ世話を焼く女とかばっかり
だったから、こんなにはっきり俺に喧嘩
売ってくる奴に初めて会ったんだよ。
そしたら、気になってなんか構いたくなって、
ちょっかい出したら、逆に嫌われて落ち
込んでた。」
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