略奪"純"愛 『泣かすなら俺がもらう』
「それで? 研修中に落とそうとは
思わなかったのか?」

「まあ、はっきり嫌われてるの分かってたし、
なんかいいな…ぐらいだと自分でも思ってた
から。」

「じゃあ、本気になったのは、いつなんだ?」

「結が泣いて大阪から帰ってきた時?
それまでは、健気に彼氏を思ってる結が
可愛かったから応援しようと思ってたけど、
泣かせるんなら俺が笑わせてやろうと思って。」

結が、目を見開いて俺を見る。

「伊藤がプロポーズされて、諦めようとは
思わなかったのか?」

「ふっ
………だって、あの時は絶対、結はもう俺の
事が好きだって自信があったから。」

「そうなのか?」

と春山さんは結を見る。

結は、ブンブンと首を横に振った。

「でも、実際、揺れてただろ?
その後、毎週末、俺と出かけてたし。」

「え? いや、それは、天が強引に誘うから…」

結がしどろもどろに言い訳をするから、

「告白された相手だぞ?
普通、幾ら強引に誘われても、その気が
なきゃ絶対に行かないだろ。」
< 152 / 212 >

この作品をシェア

pagetop