略奪"純"愛 『泣かすなら俺がもらう』

結局、この日の歓迎会は、春山さんによる尋問大会で終わった。

俺たちは、揃って駅へ向かう。

「そういや、伊藤、今はどこに住んでるんだ?」

春山さんが聞いた。

「え? いや、その…」

結がしどろもどろになる。

くくっ
かわいい〜。

「聞いてくださいよ! 結ってばねー」

「天! 余計な事は言わない!」

結が俺を睨む。

「お? なんだ?
おもしろそうな匂いがするな。
小川、話していいぞ。
伊藤、文句言うの禁止な。」

結は無言で春山さんと俺を交互に睨んでたけど、俺はにっこり笑って、

「隠したって、どうせすぐバレるよ。
結ってば、行動は大胆なくせに、照れ屋
なんだから。」

と言って、結の頭を撫でてやった。

「うん、隠したって、バレる!
で? なんだ?」

春山さんの目が輝いて見えた。
< 154 / 212 >

この作品をシェア

pagetop