略奪"純"愛 『泣かすなら俺がもらう』
いつもの夫婦漫才は何処へやら。
お互いに何も喋らず、無言でローテーブルの前に並んでお茶を飲む。

「天、あのね…」

結が口を開いた。

「何?」

俺は湯呑みを置いて、結の顔を覗き込む。

「あのね、その…
ずっと待っててくれてありがとう。」

結は俯いたまま、手の中の湯呑みを見つめて言った。

くすっ
結、かわいい。

俺は、結の顎をすくい上げると、無理矢理、結と目を合わせた。

「こちらこそ、俺を選んでくれてありがと。」

結は、途端に目を潤ませて、持っていた湯呑みを置くと、膝立ちで俺の首に抱きついてきた。

「ごめんね。あの時、天を選べなくて。
いっぱい傷つけたよね?」

「もういいよ。結の気持ちも分かるし。
こうして、今、俺の腕の中にいるし。」

俺は結の背中をぎゅっと抱きしめた。
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