略奪"純"愛 『泣かすなら俺がもらう』

「はじめまして。プランナーの工藤です。
よろしくお願いします。」

レストランの入り口で拓郎の彼女が待っていた。

「はじめまして。伊藤です。
よろしくお願いします。」

俺たちは工藤さんに促されて店内に入った。

外観はお洒落な煉瓦造り。
内装もクルミ材の赤味がかった床の上に白いテーブルが映え、南側に大きく取られた窓から明るい光と共にグリーンのテラスが覗いていて、とても雰囲気がいい。

「ほんとにこんな所で披露宴できるの？」

結が俺に聞くと、工藤さんが先に答えた。

「小川さんからご連絡をいただいた時、
ちょうど こことチャペルをキャンセル
された直後だったんです。
ですから、慌てて仮押さえしておきました。
お料理も召し上がっていただいて、気に
入っていただいてから、本契約して
いただければ大丈夫ですよ。」

結が俺を見上げるから、

「どう？ 気に入った？」

と聞いた。